株式会社フロンティア
ペットボトル成形機製造のフロンティア(上田市)は、ポリエチレン(PE)製のボトル成形機市場に参入した。
PEボトルは、主に飲料向けに採用されるペットボトルと比べて耐薬品性や防水性に優れ、多分野で需要がある。同社の成形方法とは相性が悪かったが、加熱方法などを改良し、対応する技術を確立。医薬品や工業部品の洗浄液、新型コロナウイルス対策で需要が急拡大する消毒液向けに売り込む。
同社の成形機は、試験管形に成形した素材を加熱して金型に入れ、空気を送り込んで膨らませて中空品を作る。ただ、PEはペットと比べ熱に弱いため、加工時に破裂するなどの課題があったという。同社はプラスチックごみによる海洋汚染対策など、環境問題への対応を意識し、植物由来のPEを調達。新型コロナで営業活動が停滞する中、実験を繰り返して最適な加工条件を導き出した。他社で主流の成形方式と比べ、切削で仕上げる工程が不要なため、生産効率が高いとする。フロンティアの2019年10月期の売上高は約24億5千万円。約8割が飲料などの食品市場向けが占める。環境問題対策でプラスチックボトル市場が過渡期を迎える中、受注の安定化に向け、他分野の開拓を進める方針。中村喜則社長は「環境に配慮した技術開発を続け、仕事を将来につないでいく」としている。
信濃毎日新聞 令和2年7月31日